徹夜の大逆転物語 1

令和2年2月16日、徹夜は父に呼び出され、ある相談を受けた。

父、茂三は85歳、墨田区の下町である京島で、築90年の古民家に一人で住んでいる。

以前、父の高齢な一人暮らしを心配した徹夜は、古民家を壊して2世帯住宅を建てようと

話を持ちかけるが、古民家を愛してやまない父は、激怒し、話は終わった。

そして今回、突然960万円必要なんだと相談を受ける。

はあ?なんのお金?

あまりの突然な話に、全くわけがわからないと質問する。

古民家の実家の続きに借地があり、そこに借家が建っている。

さらに駐車場もある。

そこの借地権が、更新を迎え、その更新料とのこと。

20年毎の更新だ。

いつが更新日なのか聞くと、2月27日。

いくらなんでも、急すぎないかと驚くが、父は急に言われたと言う。

そんなバカなと家の中を調べると、2通の手紙と留守電が10件見つかった。

2通の手紙は、地主さんからと地主が契約している不動産屋からのもので、

留守電10件は全て不動産屋からのものだった。

父はよくわからないと言う。

地主の手紙には、丁寧な挨拶と2月に更新日を迎えること、更新料は960万円である事が書かれ、

日付は11月末日となっていた。

更にもう1通は、不動産屋からのもので、2月14日付で更新日が近いので、連絡をくださいと

書いてあった。

そして、その後の連絡がないので、10件の留守番電話が入っていた。

中身は、連絡くださいとの事だった。

相手方は丁寧に連絡をくれていた。

それに反応しなかった父が悪いが、本人は全く知らないと怒っている。

なんなら借地なんていらないと怒っている。

いらないと言っても、もし返すなら、更新料を払い、更地にして返す約束なので、

960万どころかもっとお金がかかる。

しかも間に合わない。

八方塞がりの状況で、姉に連絡するが、姉はお金のことはわからないし、

働いていないのでお金もない。

あなたがなんとかしてと言う。

その日の夜、どうすればいいのか全くわからず、とりあえず明日、不動産屋に連絡を

してみることにした。

山田不動産の山田さんに。

更新日は2月27日、あと11日しかない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA