玉手箱開けたら 第6話

仕事が順調に行き始めた頃、錦糸町のマンションに引っ越し、長女は都立の中高一貫校へ進学しました。

初めはこの学校に入るために都内に引っ越しましたが、受験をする中で長女は女子校が一次志望に鳴り、

そこには合格できませんでした。

今思えば、都立に合格して大喜びしていた親と本人の気持ちに大きなズレがあったのかも知れません。

私はというと、そんな長女の気も知らず、家庭円満、仕事順調と勘違いをし、週に3回は飲みに出かけていました。

不幸は突然やってきました。6月のある朝、妻が私の寝室に来て言いました。

“カンナ(長女)、学校に行きたくないって、月曜から3日も休んでいるのよ、何故って聴いても答えなくって、

布団の中に居るの“

私はカンナの部屋に行き、無理やり布団から引きずり出して、怒鳴りました。

“何で学校に行かないんだ?何のために引っ越ししてまで、受験したんだ?このまま休み続けて、どうするつもりだ?

そんなんじゃ、ろくな人間にならないぞ!“

どんなに怒鳴ってもカンナは一言も口をきかず、ただ下を向いて声を出さずに泣いていました。

私はイライラした気持ちで仕事に向かいました。明日は、きっと行くだろう。

次の日も、また次の日もカンナは休み続けました。

このままでは、不登校になってしまう。

ついに妻と大喧嘩をしました。

私 “何であんなになるまで、ほっといたんだ?ちゃんと見てろよ! “

妻 “あなたは仕事仕事って言ってばかりで、子供や家族のことを任せきりじゃない!“

私 “お前は仕事しないで、家にいるんだから当たり前だろう!“

妻 “もう私じゃ無理だから、あなた何とかしてよ!父親でしょ?“

考えた末、1週間仕事を休み、その間に決着をつけようと考えました。

原因を究明し、解決すれば簡単に学校に行くようになる。簡単だ。

よく話をすればいいだけだ。いざとなれば、ガツンと言って、無理やり何日か学校に引きずっていけば、

なんとかなるだろう。甘えているだけだ。

この後、実際には全く会話はできす、1週間毎日無理やり学校に引きずっていきました。

この間、担任、校長、カウンセラーの先生と相談もしましたが。無理やりはよくない、本人が自分で動き出すまで待ちましょうと言われました。

そしてそのまま夏休みに入り、その後新学期が始まりました。

しかし、状況は変わらず、カンナは2度と学校に行くことはなくなりました。

そうしたらいいんだ?

悩んでいるところに、妻が夜中に倒れ、救急車で運ばれました。

不幸の玉手箱が開き始めました。

第7話に続く

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