玉手箱開けたら 第15話

先生は言いました。

“このままでは、3年生になっても受験できない。

このままでは、ろくな仕事につけないよ。

もっと真剣に将来のことを考えなさい。

いつまでも甘えていては、いけない。“

長女は下を向いて、唇を噛みながら震えていました。

それを見た瞬間、私は大きな声で先生に言いました。

“彼女は頑張ってきました。

今もすごく頑張っています。

これ以上は無理です。

どうしてもというのなら、もういいです。

今まで、ありがとうございました。“

先生は驚き、いろいろな説明を始めたが、私の耳には入ってこなかった。

その間、ずっと長女の横顔を見ていた。

先生がひとしきり話終えた頃、長女が口を開いた。

“もっと頑張ります。

衛生士になりたいです。

父と働きます。“

その言葉に、私は涙が止まらなくなりました。16

強くなったなと思いました。

その約束通り、3年になった彼女は、風邪で一日休んだだけで、卒業式を迎えました。

そして妻の母校である鶴見大学の衛生士科に合格しました。

これからも人生の壁はいくつも現れると思います。

でも私は応援し続けます。

長女の話は、これで終わりです。

次回からは、妻の病気との戦いを書きます。

玉手箱開けたら 第16話に続く

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