先生は言いました。
“このままでは、3年生になっても受験できない。
このままでは、ろくな仕事につけないよ。
もっと真剣に将来のことを考えなさい。
いつまでも甘えていては、いけない。“
長女は下を向いて、唇を噛みながら震えていました。
それを見た瞬間、私は大きな声で先生に言いました。
“彼女は頑張ってきました。
今もすごく頑張っています。
これ以上は無理です。
どうしてもというのなら、もういいです。
今まで、ありがとうございました。“
先生は驚き、いろいろな説明を始めたが、私の耳には入ってこなかった。
その間、ずっと長女の横顔を見ていた。
先生がひとしきり話終えた頃、長女が口を開いた。
“もっと頑張ります。
衛生士になりたいです。
父と働きます。“
その言葉に、私は涙が止まらなくなりました。16
強くなったなと思いました。
その約束通り、3年になった彼女は、風邪で一日休んだだけで、卒業式を迎えました。
そして妻の母校である鶴見大学の衛生士科に合格しました。
これからも人生の壁はいくつも現れると思います。
でも私は応援し続けます。
長女の話は、これで終わりです。
次回からは、妻の病気との戦いを書きます。
玉手箱開けたら 第16話に続く