玉手箱開けたら 第7話

妻は夜中に倒れて、救急車で運ばれましたが、点滴を受けて朝方帰宅できました。

検査の結果、CTもMRIも問題なし。ストレスの可能性が高いと言われ、長女の不登校の話をすると

多分それが原因でしょうと言われた。一安心?

ところが、次の日の夜、再び苦しみだし、救急車で昨日とは別の病院へ。

検査と点滴をして、帰宅。

そしてさらに次の日も。

3日連続で救急車のお世話になり、その度に検査を受け、問題ないとのこと。

問題あるよね。

3つ目の病院では、点滴の際に大騒ぎになり、あまりに様子がおかしいので精神疾患ではないかと

先生に尋ねるも専門でないので分からないとのこと。

ネットで調べて、一番症状の近いパニック障害ではないかと考え、心療内科を受診しようとしますが、

初診は3ヶ月待ちと言われる。

日本の医療、おかしいだろと思い、今すぐ見て欲しいのにと、探しまくる。

すぐに診てくれる怪しげな病院を見つけ、藁にすがる思いで受診すると、大量の薬を処方され、

救急車は呼ばなくなりましたが、食欲が無くなり、みるみる痩せていきました。

また、精神的な波が大きくなり、私が診療していると泣きながら帰ってきて欲しいと電話がかかってくるようになり、1ヶ月のうち診療日数が5日から10日の月が続きました。

当然のごとくスタッフも患者さんも離れていきましたが、どうすることもできませんでした。

妻が10kg痩せた頃、このままではいけないと国立病院に連絡を取り、3ヶ月待ちと言われますが、予約を入れて待ちました。

後数日で国立病院へ連れていけると喜んでいたところ、妻から電話があり、変な電話かと思い、予約を断ったと言ってきました。

目の前が真っ暗になり、急いで国立病院に蓮bんらくしましたが、もう別の人が入ってしまったので、予約は3ヶ月待ちになりますと冷たく言われました。

頭の中がぐちゃぐちゃになりましたが、とにかく必死で説明しました。

“妻は精神的な病気なのに妻に電話して確認するのは、おかしい!私に連絡するべきだ!

もうこれ以上、待てない!3ヶ月待ったんですよ!もう3ヶ月は待てない!

なんとかお願いします。ボロボロなんです。ガリガリなんです。“

私の必死の訴えに渋々時間外に見てくれることになり、体の力が抜けました。

その後受診し、薬の量は半分になり、時々気持ち悪くなるものの、寝ることで落ち着くようになりました。

しかし、家事は全くできなくなり、毎日お弁当やマクドナルドで過ごすようになりました。

この間、長女に対して全く関われず、引きこもりは本格化していきました。

昼過ぎまで寝て、夜から朝にかけて起きるという、昼夜逆転の生活。

ある日、夜中にベランダに立っているのを見つけ、ゾッとして部屋に入れと怒鳴ったこともあります。

仕事、家庭、全てが暗闇の中で疲れ果てていきました。

そんな中、生活費にも困るようになり、恥を忍んで父に相談にいきました。

しかし、父は昔堅気の人で妻のことは理解が得られす、怠けているだけだと言われ、長女に対しても

甘やかして育てているからそんな風になるんだと言われ、私に対してはそんなクズに育てた覚えはないと

罵られました。恥ずかしいと。

そんな中、どん底のどん底だと思っていた時に、たった一つだけ嬉しいことがありました。

母の言葉です。

当時、母は癌にかかり、寝てきりになっていましたが、母だけは優しい言葉をかけてくれました。

“ お父さんは短気だからあんなことを言うけど、心配してるよ。

大変だけど無理しないで、あなたなら何とかできる。

家族に優しくしてあげなさい。

あなたは優しい子だから、大丈夫よ“

その瞬間、号泣してしまい、しばらく母の布団に顔を埋めて泣き続けました。

沢山泣いた後、少しスッキリして、今がどん底なら、後は上がっていくだけだと気持ちを奮い立たせました。

数日後、診療所に父から電話がかかってきました。

母が目を開けないと。

不幸の玉手箱 第8話に続く

2 COMMENTS

飯島 泰代

「玉手箱開けたら」記事の第1話からお話に引き込まれ、第7話まで一気に読んでしまいました。続きが気になって仕方ありません。更新お待ちしております!!!

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村上 正治

飯島さん、ありがとうございます。
ブログ史上、初コメントです。
いつの間にか100投稿もすぎ、全く反応のない中、書き続けてきました。
そろそろ諦めかけていた時、最後に自分のネタを、出してみようと思いつき、
書きはじめました。
ほぼ10年前の出来事ですが、改めて今の自分があるのは、あの時のおかげと
認識できています。
頑張って書きますので、引き続きよろしくお願いします。

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